山室木工株式会社  

わたしたちが主にどんな場所に身を置きたいか?を考えてみたとき、「空間」が先か「家具」が先かという考えがあり、近年は「家具選びから始まる住まいづくり」という考え方も定着しつつあるようです。
私たちは昭和19年の創業以来、奇をてらうようなデザインよりは、そのどちらからでもイメージしやすい家具、つまりどちらが主役でも脇役でも自分らしさを表現できる空間づくりのお手伝いを心がけています。
お気に入りの上質な空間に、作り手の美意識でなく機能性や実用性を追求したアノニマス(匿名・無名)デザインや、一目惚れで購入したモノ、そうやってコツコツと揃えていったインテリアアイテムを最終的に魅せる場としての家具。 山室木工はそんな決して自ら主張をしない、どこか日本の奥ゆかしさを感じるような家具づくりを目指しています。
 


個を表現する、つまり個を生かすということはそれをしっかり魅せることのできる正しいカタチが必要です。山室の家具は木目を揃える、引き出しがスーッと閉まるなど、当たり前といわれることをベテラン職人から若手職人に至るまで常に意識し、特に時間をかけてきました。 だからこそ、山室の家具はそこに凛とした空間が作り上げられ、個が生かされるのです。

現代のように西洋の生活スタイルが定着しつつ、同時に床座も知るという世界でもまれにみる混合文化を受け入れている私たちにとっては、家具選びは家財道具としての財産選びというより、心の豊かさを求め、より生活を愉しむための道具選びとなっています。 自分の大好きなものに囲まれて、穏やかな余白時間を過ごす雰囲気作りにも純日本製の家具という存在は欠かせません。

例えば、玄関に小さな花を生けます。季節の移り変わりを告げてくれる庭の花を挿します。6月になると、紫陽花の花が青や紫に色付き始めます。微妙な色合いの花びらはしっとりした梅雨にこそ似合う色。それを引き立てる家具としては、あまり奇抜なものは好ましくないかもしれません。 そんな心がけがお客さまを迎える心を伝えてくれるのはないかと思います。

日本は建築と家具・設え(しつらえ)が密接な、また曖昧な領域の中で関係で一体化しているというのがわかります。 人の暮らしに合わせて用意しておくことを「設え」と表現した場合、家具でいえば物がおさまる所、表現する所。つまり、しつらえの一部に家具があります。 夏は涼を感じるインテリアを表現する場・冬はそのインテリアを仕舞う場として家の中の器具ではなく道具として、人に寄り添うものであって欲しいと思います。